「幸せの境界線」(第2部) written by economy UP 26.Feb.2010
さゆりの小さな「身体」は雅裕に抱きかかえられ、バスルームに移される。
勢いのある湯がその洗浄のため、降り注がれた。
昨日まであった身体を労わる様な優しいお湯ではなく、まさに洗浄である。
身体がたっぷりとボディーソープを含んだスポンジでゴシゴシと擦られた。
「さゆり、この毛は剃ってやるな。」
「お願い致します。」
自分では何もできない身体は夫である主の助けなしでは、あらゆる事で支障が起こる。
その事実は2年間、賄い人の手でぼかされていたが鮮明になってきた。
雅裕が言った。
「さおり。何だかわかってきたよ。・・・自分の運動量で。」
「そうです。Noはありません。あなたは私の夫であり、持ち主です。ご自由になされば・・・アァ~。」
雅裕のスポンジがさゆりのまたの部分を他と力を変えず洗った。
「この中の部分は普通どうするんだ。」
続けながら聞く。
男の性器では垢は溜まる。
生理があり、形状的にも、その器官の役割としても、自分から吐き出す分泌物が多い女の場合は汚れて当然である。
「ご、ご主人様。その手を・・・少し止めて。」
雅裕は素直にさおりに従った。
さおりは息を整えるため、ゆっくりとした深呼吸を何度かする。
「生理の時以外は女の場合、・・・私の場合は普通の場所より少し強い力で洗えば大丈夫です。指で拡げて頂ければ、いっそうですが。クリトリスの部分は男性と一緒です。でも、人それぞれで私のは強く洗えば、ご覧の様に感じてしまうので、それで十分清潔だと思います。」
「そんなのわかるか。」
雅裕は言い捨て、泡塗れの指2本を子宮に触れるほど押し込み出し入れさせ始めた。
「アウ、アウ、・・・アウ。」
軽いさおりの身体は指の動きに合わせ、支えられている雅彦の左手を上下する。
「こんなもんかな。」
髪の毛までグッショリ濡れたさおりがタイルの上に転がった。
無言で仰向けにされたさおりの恥毛に新たにシェービングクリームが載せられ、剃刀がゆっくり這い回る。
「お前は歯磨き、他の無駄毛の始末もできないんだったな。」
剃刀は左右の腕を上げられた部分のほとんど毛の見えないワキを何度か往復した後、歯磨きを取りに行った雅裕がダストボックスに投げ込んだ。
その際、お湯を風呂に満たすことが始められ、さゆりの小さな詫びの声が聞こえた。
「申し訳ありません。ご主人様。」
「・・・詫びる事はないさ。・・・。」
雅裕の応じる声もさゆり同様、小さい。
満たされた湯に雅裕がさゆりを抱きかかえ、身体を温める。
さゆりの髪がリンス分を含むシャンプーで洗われ、その頭には水分を拭取ったバスタオルがあまり形良くなく巻かれていた。
切り取られた手足の部分を雅裕が改めて・・・いや、2年ぶりに真剣に手で確認する。
「ふっ、ふっ。こそばい。」
さゆりは明るく笑った。
雅裕の「手」がなくては生きてはいけない。いや、一応障害者の手続きは取ってあり、社会からの離脱は、「困窮」を訴えれば得れるだろう。
しかし、さゆりはしないし、雅裕から離れるどんな状況でも、死が選べるのなら迷わず・・・。
さゆりの明るさはその決心を裏付けていた。
さゆりの身体は男が手にする玩具の中で、最大の機能、優美さ、インテリジェンスを有するものに違いない。
その事を改めて、雅裕は認識した。
「出るか。」
「はい。」
タイルの上に這わせてやる。
まだ、さゆりに関する作業が幾つも残っていた。
髪に巻いたバスタオルで身体を拭き、新たなものでもう一度。
そして、ダウンを羽織らせ、さゆりを拭いたタオルで雅裕が自分を拭く。
「リビングに行ってろ。」
「わかりました。ご主人様。」
まだ濡れた髪の毛を下に垂らし、さゆりは暖かいリビングへ「歩いた。」
自分の方は適当に片付け、ドライヤーとバスルームにあった簡易な化粧箱を手に雅裕はリビングに行く。
滑り落ちたバスタオルを咥え、振り向いた妻の白い背中に強烈な性欲を覚える。
(怖いほどの色気?受け入れる立場の圧倒的優位性。・・・くらくらするが、済ます事は済ますか。)
ドライヤーに電源を取ろうとする背中にさゆりが言った。
「ご主人様。髪の毛を乾かす事や「罰」の前にご利用ください。欲しい時、使って下さい。さゆりはそのために・・・。」
UP 8.Mar.2010
「そのために」の後が聞こえない。
しかし、さゆりは確実に主人の目の色からその意志を読む事を憶えたのだろう。
ゆったりと身体を雅裕に任せ、恍惚を反映した虚ろな瞳、盲目の服従が示された夜の積み重ねはさゆりの中で、一つの結果の後のプロローグでしかない。
700日、舞い上がった埃が少しずつ、その厚みを増すように「失った」さゆりの身体との比較で心さえ、いっそう受動的に従順になっていった。
どちらに落ちても救いようの無いはず。
境界線のどちらかは、さゆりにとって幾らかの色合いの違いがあり、その色を確かめた700日でもある。
結論は「二人が壊れて当然。」
しかし、壊れ方は幾つかある。
色合いは過程であり、極限的奉仕を行った主に対し、「No」は当然、今更ありえない。
ならば、「Yes」だけ。
さゆりの女(マゾヒズム)はそう理解し、女であり続けようと日々を過ごし、当然、主の目の色で今求められているものなど容易に当てれる。
言葉を投げられた雅裕はその後を考えなければいけない。
(「抱け」か。そうしたいが・・・。)
さゆりの髪をドライヤーで乾かし、クリームを剃毛した箇所に塗りこみ、最後に紅を引く。
その最中、様々な強さで呼吸を発していた口はあごを持たれ、雅裕の前にあった。
目が合う。
さおりは目を一瞬光らせ、そして自分の立場に戻る作業の中で光を弱くしていった。
全てが主の思うがまま。さおりは雅裕に対し望まない躊躇も受け入れなければならない。
さおりの全てが今、整った。
一匹の牝奴隷がその心身を味わう立場の牡の前にか弱く、だが、そのか弱さは牡を誘う牝の図としては「通常とは量りきれない」景色となって、照明の下で白い肌を輝かせている。
「さおり、息を呑むほどだな。」
雅裕は本音を言う。
「・・・オシッコを溢した罰を受けなければいけません。」
ストーリーはそうだった。
さおりのか細い線を力で傷つけられる、或いは強引な行為で感じている女(マゾヒスト)を見せて、それ以上を容易にする事を導こうとする。
「さおり、大丈夫さ。君の手足を奪った私に余計な進言。やりたい事をするし、それが君の望む事かどうかなど関係ない。そうだろ?」
雅裕の言葉はさおりの本質に届いた。
そして、か弱さを持った女体がこの場において男の玩具である事を二人が認め合い、女体は不完全な両手足で4つ足に成り、その尻を雅裕の方に向ける。
「さおり、どんな罰がいいかな。」
雅裕の声は静かでゆっくりとしたもの。
「あぁ、もう濡れています。どの様にでも・・・どの様にでも。」
身体と同じ濡れた声は部屋の壁に貼り付きそうだった。
「さおり。罰は明日にしたい。いや、その背中を見て思ったんだけどね。」
「どういうことでしょうか。ご主人様。」
「質問かい。さおりらしくない。」
雅裕の答えはもっともである。
さおりの顔が赤くなったが、それは彼女の身体が男の与える刺激を容赦なしで待っている証明だった。
その事は雅裕も理解しているし、自身の欲求も止めようがない。
部屋に戻り、バイブレーターの幾つか、開口具を手に持ってきた。
さおりの口が開きっぱなしとなり、黒々とし長さが20cmほどあるバイブは女芯に突き刺さり、支えの「腰紐」と共にクネクネと動き続ける。
ビールをテーブルに持ってきた雅裕は難なく軽いさおりを持ち上げる。
肘から先のない腕を自分の太ももに置き、開いたままの口に硬くなったペニスをまるで栓をするかのように差し込んだ。
ビールが風呂後の軽作業でイッソウうまく感じる。
その下には醜く変えられた顔でペニスを口イッパイにし、時々見上げるさおりの目にはバイブと愛する夫の過激な「愛撫」に酔っているマゾ牝が見えた。
翌朝、二人はまだリビングにいた。
先に目が覚めたのは雅裕の方である。
さおりは身体を横にし折り曲げ、柔らかい絨毯の上に転がっていた。
口には開口具がされたままである。
風邪予防の加湿器が一晩中動いていたが、昨夜の最後、さおりの全ての穴に十分精液を収めきった後、仰向けにさせ、その口に少しずつ小便を注ぎ、残さず飲ませた。
その後、8時間ほどが過ぎている。横になっている位置はその時のままである。
喉が渇いているだろう、とは考えたが、雅裕は車のキーを手に家を出た。
約2時間の買い物を終え、大きな荷物と共に家に戻った時、さおりは目が覚めておりバスルームにいた。
4つ足の獣はそこに着いたばかりらしい。
雅裕に少し目をやり、何かを訴えようとしたかに見えたが、それは止め、当初の目的の事を行い始めた。
バスタブには昨日、二人が入った湯の残りが少しずつ見える。
その水滴の部分に開口具をタイルに接触させるカチカチと音を響かせ、水滴を舌で掬い取る。場所を変え、また水滴のある場所に口を移す。
人間の尊厳を守る事は生きていく上で、五体満足・健康な上、経済的な少しのものが必要であることが最低条件なのだろう。その事をさおりが目の前で示していた。
当然、さおりが人の尊厳を有していない存在である事を証明するため。
完全なマゾヒストはその後、「片足」を上げて、小便をする。
雅裕の目の前で女の排尿器官は口を拡げ、その機能を果した。
荷物を一旦置き、雅裕がボーとしているさおりに近づいた。
さおりはその片足にしがみ付く。
温度を持った水がさおりに掛けられると、その方向に顔をやる。
まだ喉が渇いているのは当たり前だった。水滴など喉を潤すものではない。
舌が降り注がれるお湯の中で踊って見える。
そして、雅裕は「受け入れる立場の優位性」は1つの条件が無くなることで、多くを損じる事を理解した。
UP 6.Apr.2010
「さぁ、罰を始めよう。」
再びリビングに戻った主がさおりに言った。
「はい。でも、何の罰か、さおりは忘れてしまいました。」
ひどく無邪気な声、今を楽しんでいる様にさえ聞こえる。
「何の罰か・・・。理由など忘れて良い、私の勝手な楽しみ。さおりの存在、そのものに対する罰さ。」
さおりは全否定され、その全てが真実とされた。
さおりの持つマゾヒズムの血が沸騰しそうな気がする。
「ば、罰を、・・・どのような罰でもあなたから受けます。」
手足さえ与えた愛しい男は、やはりサディストでさおりと共に最後の境界線を手を取り合って渡る。
それを確かめた。
声が自然に頼るべきものを得た女の安堵を含んだものになる。
雅裕が買い物の袋から大きなものをテーブルに置く。
「そうだった。まだ、準備が必要だ。これを造らなきゃ。」
「さおり、1,2時間は必要だ。その辺で待っていろ。」
合わせたら金属の円となる90度の4つのパーツ。
切り口の一方は銀色で閉じられていたが、もう一方は螺子釘が大きく突き出ている。
電動ドリルがさおりの身体にあわせた位置に4つの穴、白い壁に開けられた。
それぞれの穴に金属パーツがねじ込まれ、最後に閉じられた銀の一方が天井に向かう方向に男の強力な力で揃えられた。
「ふー。力仕事の連続だな。世話のかかる奥様だ。」
雅裕の言葉にさおりが反応し掛けたたが、その前にさおりの身体が宙を舞う。
腋が2本の金属で上半身を支える形になる。
「ちょっと、力を入れろよ。」
「はい。ご主人様。」
ちょうど、太ももの付け根部分の二つの金属が「椅子」の役目だった。
雅裕が何も言わず、さおりから手を離す。
金属の直径分、さおりの身体が隠れたが、壁に張りつけられた「不完全な女体」はその顔色を見なくても、さほど力を要せず、現状の大の字を保っている事がわかる。
「さおり。良い格好だ。一応、逆さでも「足」の支えで十分だと思うが、肩の部分が長い時間だと厳しいかな。その時は何かクッション材でも挟んでやる。それにしても、まるで生贄。性の生贄。さおりにはぴったりだ。」
さおりは背中の壁がちょうど良い重心の逃げ道で、何もかも雅裕に晒す、この拘束が気に入った。
「えぇ、とても楽です。約35kgの私の肉は全てあなたのためにあります。全てが見て取れるでしょうし、何でもご自由にできますよね。」
「その通りだ。逆さも可能だし、白い背中を晒させて幾らでも、鞭の痕もつけれる。」
「アァ。早く罰を下さいまし。ご主人様。」
さおりは言葉に続けて、白く濁った液体をヴァギナから吐き出し、被虐を欲する様を雅之に見せた。
被虐ではないだろう。
肉魂に与えられるものは命を少しずつ取り削ぐ行為。
それ以外の時間は2人にない。
その合間に互いの性を飛散する刹那があり、継続し、やがて収束する。
「さて、如何弄ってやろうか。」
肉体がただの肉となる時はかろうじて男の言葉で始まりを告げられた。
足の部分に補強用の動物の皮で出来たものが、金属との接続を確かなものにし、さおりが意識を失い首を垂れても、
女陰は無様に拡げたまま、男を挑発続ける事が強要される。
バストから腹にかけ、最も女体の柔らかさを有した部分は初めて鞭の洗礼を受けた。
「アァ、モット。モットツヨクゥー。モットッー。」
さおりの声は小さな鞭の音に叱咤を与えるようだったが、やがて鞭の音と声の強弱が逆になっていく。
「ハァ、ハァ、(バシッ)アァー・・・・。」
体力など小学生高学年と比較しても敵いそうにないさおりは、鞭の合間に荒い呼吸をし、鞭の音(ね)と共に、それでも甘い息を吐く。
痛みはあまりない材質の鞭だが、重ねて撃たれている場所は赤くなり、青くなる。
「どうだい。鞭の味? さおりはあまり経験ないよな。私も憶えがない。でも、今の君にはとっても似合う気がしてね。次は背中だな。そう、君の光る背中を撃ちたくなったんだった。・・・か弱そうで、官能的で、男を誘う・・・。」
「は、はい。ご主人様。淫らな身体は・・・罰せられなければいけません。私が一番知っています。」
身体が反転させられ、白い背中が広がった。
迷うことなく、その背中に、尻に何度も鞭が落ち、今度はさおりの声は許容できる時間が長く、甘いため息のような啼き声は数十分、雅裕を楽しまる。
やがて、さおりの意識はかすかとなり、全身の力が抜けた。
金具に引っ掛けられた女体は解体を待つ家畜の様に放置され、豊かな髪が不自然に背中の鞭痕を隠している。
雅裕はグラスに氷を入れ、迷ったが日本酒を注いだ。
日本酒も氷で割れば、休日の昼間には相応しい酒となり、「女手」のない午後はツマミはないが、華やかな香りを放つ酒の肴は目の前の白い壁にあった。
腹、胸の時、見て取れた女が吐き出す白濁の液体はわずかだったが、背中や尻を撃たれている際は一度、二度、壁にその体液を擦り付けても、まだ直接、身体からの分泌があり、床はその雫の集積でグラスの日本酒ほどの量があるだろう。
その上に壁からも、ようやく床に辿り着くものも加えられる。
突如、さゆりが大きな痙攣を起こした。
グラスを手にソファからさゆりを見ている雅裕は別に驚かない。
背中、特に尻が鞭の対象になっている際、この手の痙攣は良く見せる。(ただし、今回は大きな喘ぎ声は聞こえなかったが。)
同時に蜜壷に溜まった液体の塊を床に吐き出し、その量は倍になった。
全裸である雅裕は当然の行動を始める。
妻の身体は肘から先は全て失っているが、意識が無い分、それを補い十分重い。
床に仰向けにさせ、ペニスを挿入する。
さおりの目蓋、唇が少し震え、やがて、意識が戻った。
「アゥ、アァー、・・・。」
さおりの口が小刻みな声を出し、目が全開となり、主の顔を見つめる。
「フッ、フッ、ちっとも罰じゃないな。」
雅裕が笑った。
さおりは肘のみを伸ばし夫の身体を捕まえようとしたが、それは叶わず、顔を大きく左右に振り女らしい艶っぽい音を叫び続けた。