「アナログ」 written by eConomy UP 5.Sep.2009
人間はアナログである。
デジタル化できないところで前進があり破壊度合いが軽減できる。
1と0の世界(デジタル)ではそのしきい値が曖昧になれば、識別が不能になるし、順序を逆にもできない。逆になれば、そこで崩壊である。
アナログ的はデジタルの世界より柔軟と堅牢を有していると言えるだろう。
女が縛られていた。
しかも、素っ裸で足は大きく拡げられ、手も拝む形で合せられ、天井の金具を通し、女の座らされている「椅子の足」に何重にもロープが巻かれ、女に自由は何もなかった。
意識がまだない。
それが女の救いであったが男はその身体に好き勝手な欲望をもう3時間もぶちまけ続けている。
豊かな髪も一括に巻かれ、拝む手に固定されており、男は女の背中以外は完全に見て取れた。
玲子は真一を知らない訳ではない。
意識を無くされ、その身体が弄ばれている。
つまり、玲子の同意を得、行っている訳だが、真一は薬の量・質を換え、1時間で済むはずだっと事を2時間以上オーバーし、まだ行っている。
薬は12時間、玲子を眠らせて置くものだった。
「玲子、大丈夫だよ。簡単な刺青だけだから。君だって、「綺麗だわ。しても良いかな。」なんて言っていただろう。・・・君に拒む権利は認めないよ。」
「う~ん。それは真一さんが決めれば良いんだけど。玲子はあなたの奴隷だから。」
「だったら、何を拘っているんだい。図柄を選んで欲しいだけど。」
「・・・だから、大丈夫?こんな綺麗な蝶。どれもイッパイ色彩はあるし、初めてなんでしょう。失敗したでは取り返しはつかないのよ。」
(それはそうだ。取り返しはつかない。・・・でも、失敗はないな。)
真一は思ったが、口には出さない。そして違うことを言った。
「これかい。この紫のハネの蝶。それともアゲハ蝶。ふ、ふ、蝶じゃなく別のものでも良いけど。」
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玲子は30歳、真一は32歳になる。
真一はK大学の出身で、そこの法律に関する修士号を持っていた。
今時、修士などなんの役にも立たないが、一時、修士論文は世間の注目を浴びた。
大胆に「近世日本」の憲法・民法等を論じ、他のアジア諸国の類似法に与えた影響を明確に示し、今後が期待される法学者の1人となる。
不運は成功と共にやってくる。
その分野で名が知れた関東の某大学の教授が修士論文ごときにわずか5行ほど有名法律雑誌に「批判」を入れたのだ。
それでお仕舞いである。
彼は幾つかの手を試みたが、彼が学ぶ「法」ほど社会はロジカルではなかった。
彼は結局、大学を追われた。
当然、彼に対し、応援をする他の勢力、そして彼の恩師が手を貸すが、それでも某教授の力・数行の文章が圧倒的であった。
彼は恩師のおかげで2校ほどの講師の仕事を得る。
それから、8年。
真一は論文を発表し続けたが小さな世界では小さな傷がいつまでも尾を引く。
ようやく、彼にも幸運がやってきた。
某教授は学長まで登りつめたが、来年、退官の予定である。
その影響力はしだいに落ちるであろう。
彼に近寄り始めた大学も多くなる。
来年ではまだ無理だろうがどっかの大学が準教授くらいで2年後先辺りに拾われる可能性も出てきた。
玲子と真一の付き合いはかれこれ10年にもなるだろうか。
つまり、二人は学生時代から付き合い始めた。
真一は大学では将来が嘱望された学生、院へは当然上がることが学校側からの要望であり、将来の大学での研究職が約束されていた。
司法関係や役人にならなくても、学校は彼の未来を保障していた時期である。
当時、地元の女子大との・・・正確には何だったか真一は忘れてしまったが、玲子が真一の隣にグラスを持って座った。玲子は当然、その出会いの「理由」を憶えているだろう。
(可愛い娘だな。色白で清楚な感じ。・・・お嬢様かな。)
真一の玲子に対する最初の印象だったが、最後の部分は外れている。
玲子は経済的には恵まれていない。
母子家庭で育ち、自分のアルバイトと奨学金での大学だった。
真一は優等生らしく、そういう場にあまり出ない。
玲子もあまり好きではないらしいが、その接点が後の10年を作ってしまった。
玲子と真一は引き合うものがあったのか、密かに付き合い始めた。
半年後、身体を許す仲になった二人の状況は玲子は学年が上がるのみだが、真一は院に入った年である。
普通のカップル。
ただ、結婚を約束して、玲子は真一に無防備になった。
将来は博士・大学教授への知能と「約束された道」を持つ真一に玲子がどれだけの打算を持ったのかは今となっては良くわからない。
真一は例の修士論文を発表した時、二人は幸せの絶頂だっただろう。
目隠しされた華奢な白い身体が真一の前にある。
その女体の持ち主の小鼻が少し赤くなっているのが、羞恥と興奮を表していた。
乳房の先端に口付ける。
「ハァ~。」いつもの玲子の反応。
大胆に足首を上に持ち上げ、足を拡げさす。
これは真一のいつもの事。
慣れてしまったとは言えないが、最初に真一の舌と唇が玲子の女を味合う。
儀式とも言える事でいつも玲子は真一と会う前は入念にボディーソープで、その「中」まで洗う癖がついてしまった。
「見ないで。」
か細い声が明るい電灯の下で行われる女の秘部への愛撫前の凝視を拒否するが、それもいつもの事。
やがて、拒否を示した女の口は快感を示すものに変わった。
「イィ~、シンイチ、イイノ。スキヨ。」
今度は玲子の番でベッドに尻をついた真一のペニスに玲子が舌と唇、口全部を使って奉仕する。
処女だった玲子は急激に様々な性に関しての技術を覚えたが、可憐な口が与える刺激に真一はもっとも興奮を示す。
上目使いに真一を確認しながら、睾丸、肛門も舌が届く位置にあれば舐め上げた。
そして、二人は男と女の夜、いや、昼を様々に繰り返す。
二人の関係が次の段階に入ったのは、やはり、修士論文の事件からだった。
玲子は卒業し、地方図書館に勤め始めている。
真一の揺ぎ無いはずだった未来がたかが数行の文章で崩壊した。
真一には理解できなかった。何?と聞かれれば、こう答えざるえない。
「何もかも。何が起こったかさえわからない。」
そのロジカルな頭が考えた正直な答え。
真理の追求のため、まっすぐを見ていた目に後ろからの手が見えるはずがない。
まして、そのような理不尽を回避する学問が法であろう。
真一は大学を追われ荒れに荒れた。やがて、怯え始めた。
このまま何もかも失ってしまうかもしれないと言う恐怖。
全ての大学関係者にと言うより、学問・人間への不信感が日々、増大していく。
そんな真一に玲子は神経が擦り切れてしまうほど尽くした。
・・・母親のように、妻のように・・・。
やがて、真一はその玲子さえ失ってしまう自分を想像する様になり、それは自分の中では確信に変わっていく。
「玲子。お前はいつ消えるんだ。」ヒステリックに叫ぶ目の色に怯えをふくむ懇願調の震える声。
精神的均等は明らかに失われていた。
「真一さん。大丈夫よ。私は消えないし、どこへも行かないわ。あなたを信じています。そして、愛しています。」
そんな玲子の答えも真一には信じられない。
「じゃ、一緒に死んでくれ。」震える男を女は一晩中抱きしめていなければいけなかった。
女は男のために奔走した。
大学に行き、教授との接触を試み、某大学教授の「理不尽」な行為にも「侘び」の手紙も入れる。後は黙殺されたが、大学側は流石に数度目かの女の面談に応じる。
「今後、真一さんはどうなるんでしょう。」玲子は短刀直入に聞く。
真一が完全なノイローゼ状態でマトモな会話ができない事を知っている教授は玲子が冷静に物事を話せる知性の持ち主であることを喜んだ。
「失礼ですが、あなたは。」
「はい、真一さんとは結婚を約束しておりました。」
教授はうん、うん、と首を振り、なおいっそう、男のために苦労を厭わない女の立場がわかり、詳しい話を始めた。
「良くある事なんです。学問と言う世界は表面上は光の射す部分にあるが見えない部分ではどんな分野よりも汚い。言うなれば不合理です。あの教授には私が書簡で真意を聞きました。」
玲子は大学が一応は動いている事に少し安堵した。
「それでどのようなご返事が。」
「簡潔に言うと、憶えていない、これの一点張りです。」
「そんな、ひどい。」玲子は涙声で言った。
「そうですね。彼の論文を読んでいるのは間違いない。しかし、その教授が書いた文か、それを口述で書いた記者のものかは本当のところでも憶えていないのかもしれない。それほど忙しい人ではあるんです。」
「でも・・・。」
「私たち・・・つまり、学者一般ですね。学者バカと言う言葉もあるように、ある意味、自分の世界のみで生きている人は多いのです。実際、彼に対して、全ての本校の先生が指示をしている訳ではないし、彼にはライバル的存在は数多い。つまり、この手の「失脚」は珍しいことではありません。」
「では、真一・・・真一さんはもう、学問の世界では生きられないのですか。」
教授は玲子に首を横に振った。
「時間との闘いです。少なくても私は彼の才能を認めています。才能と言うのは飛び出た釘。つまり、打たれるものです。どんな有名な先生でもそんな経験はある。・・・ですので、彼には休息の時間かな。それを与えられたと思って、今を受け入れるしかありません。玲子さん、でしたか・・・。」
「はい。」
「講師の口を2,3探しておきます。彼には不満でしょうけどね。それで、どんどん論文を発表する。昔ほど日本の大学は酷くありません。これで一貫の終わりなんてことも昔はありましたけどね。その論文が一定のクオリティーを保っていれば、また彼は大きくなり、本校も彼を必要とする時期が来ます。・・・今の所、私が退官する時は彼を推薦しますよ。お約束は出来ませんが、今は彼の才能以上を知りませんのでね。」
玲子は大学の門を出て、その校舎に向かって最後のお辞儀をした。
(私が真一を今支えなければ・・・。全てを投げ打っても。)
真一はここのところ、自宅であるワンルームマンションから外に出ない。
生活は玲子がいないと成り行かないであろう。
玲子に甘えている部分が見てとれるが、真一の精神状態で玲子を今、失えば本当に自殺する可能性は十分にある。
「真一さん。大学に行って、佐藤教授にお会いしてきたわ。」
「あの無能教授。」吐いて捨てる様に真一が言った。
「そんなこと言うものじゃないわ。お会いして思ったけど、立派な方です。あなたの才能を高く認めて頂いているし、身の振り方も考えて下さっています。そして、きっと、すぐに大学に戻れるとも言ってくださったわよ。」
「・・・どういうことだ。」
玲子は話を少し誇張させたが、教授の言ったことを真一に全部伝えた。
「わかった?少しのお休み。だから、ちょっと病院にも行ってみましょう。あなたの道はまだ先に続くのだから。」
真一は考え込んでいたが、確かにそんな人間がいたことぐらいは知っている。
だが、当事者となってみれば取り乱す。
そして、玲子についても考えていた。
(今の俺には必要な女。いや、大切な女(ひと)。・・・守られている。・・・いつ、守ってやれる日がくるのか。)と同時に(今の俺には必要な女。ほかの誰の手にも渡さない。)
真一は玲子にムシャブリつく様に、その華奢な身体を抱きしめた。
「駄目よ。もう遅いわ。1時。明日、仕事が早い・・・。」
玲子の言葉は男の荒々しさの中で消えていく。
もう下半身には何もつけていない。
「玲子。この毛剃ってしまおう。ビショビショだ。」
久しぶりに身体を求められた玲子はもう抵抗は止めてしまい、むしろ、男の熱い息がかかる女の部分から脳に届く感覚に痺れていた。
「え、何?どうしたいって言ったの?」
「だから、この毛、剃っちまおう。」
玲子は意味は理解したが、意図がわからない。
「どうして?」
「可愛いじゃない。玲子には似合っているよ。」
真一はバスルームに行って、自分の安全剃刀とシェービングクリームを手に持ってきた。
「本当に剃るつもり?」
玲子の声は半分諦め、半分は真一が積極性を見せるのが、何に関しても久しぶりだったので変な安堵感があった。
クリームは万遍なくヴァギナ周辺を覆い尽くし、一旦、肌以上の白で溢れる。
(うわぁ、ヒリヒリする。クリの辺りの刺激・・・スゴイ。)
右足は真一の肩の上で、左足は真一の右足で拡げられている。
音もなく、剃刀が上下に動いた。何度も何度も。
やがて、右から、左からとなり、玲子の右足はいっそう、真一の肩で上にされる。
「玲子。見えるだろう。柔らかい毛だけど、結構生えているんだなぁ。」
ずっと、目を閉じていた玲子が自分の下半身を覗く。
まったく違う風景となっている。
成熟した女の花びらは隠微な赤と取れない茶色を有した色がその「入り口」の大半を占めていた。
玲子はまた目を閉じる。
剃刀が肛門周辺を貼っている。
「よし、できた。」
真一が論文の完成の際、最後に言ういつものセリフと共に玲子の下半身は床に戻される。
最後にタオルで拭かれている最中も玲子は目を開けない。
真一は残りの毛がないかを確かめる事と「少女」のモノとなったヴァギナを指で拡げ遊んでいた。
「玲子。なんか刺激的だな。たまにはこんな事も楽しい。また伸びたら剃ってやる。」
真一が継続を言ったが、今、玲子はそれどころではない。
「ねぇ。真一。早く入れてよ。もうタマラナイ。」
チリチリした刺激が溜まり頂点を身体が欲しがって、それを抑えつける術がない。
焦らす様に女陰を弄ぶ真一にまた、玲子が催促した。
「真一。入れて。お願い。」
「玲子。こう言ってみな。真一様、玲子のオマンコを貫いて下さい。」
1も2もなく、玲子は叫ぶ。
「真一様。玲子のオマンコ、つらぬいてぇ。」
「アァ。カンジル~。チョクセツササッテルノ~。イィ。」
真一はその3日後、病院に行った。当然、神経科である。
玲子のお蔭で少しは落ち着いていたが、時に焦燥感で身を捩る事は大して変わりはない。
「そうですなぁ。お話を伺うとある意味羨ましい。中央にまだ接点があるのですからなぁ。私などもう一生、田舎医者でしょう。あなたはまだ若い。幾らでもチャンスは巡ってきますよ。(笑)こんな事は神経科が言ってはいけませんな。さて、お薬はそのあなたのフィアンセが一番のようですが、少しは医学も役に立ちますので・・・。まぁ、1週間分くらい。それと睡眠薬は3日ほど。・・・後はゆっくりとする。罪のない本、学問に関係ないお気軽な書物でも読んでしばらく自分を放り投げておく。自分が必要ない存在だと思われたのでしょう。なら、そうしておく。そうはならない事を知っているあなたには簡単です。」
医者は長い診察結果を言った。
そして、真一にとって医者は優秀だったようで、その言葉は渇いた根っこに水を与える様に心に沁みこむ。
帰りに本屋に寄ってみる。
何とか殺人事件。古代文明の平易な読み物、・・・、アダルト雑誌の欄に行ってみた。
極普通のグラビアが並んでいるが、その表紙に書かれていることは極めて過激である。
「人妻ナンパ調教NO.3 牝犬として」「性奴隷に落ちた私に烙印」「ご主人様の命令で愛犬と・・・」・・・2,3冊手に取りレジに向かった。
まだ、午後2時を過ぎた頃で、玲子は当然、仕事中。昼すぎに飲んだ薬は安定剤の類であろうが、眠くもなく、いつもこの時間に真一を襲う焦燥を抑え込んでいた。
ベッドでくつろいだ。(2,3日後には大学に顔を出すか。)
教授の言葉が少し気になる。
住んでいるマンションの家賃は奨学金と親からの仕送りから支払っているが、これからどうなるかわからない。
(まぁ、良い。それはその場、その場で。今は休息だ。・・・疲れきっていたことも事実だし。)
本屋で買ってきた本をベッドに散らした。6冊ある。
当然、真っ先に目が行ったのは例のグラビアである。
バラバラと捲って行く。
写真のみが目を通り過ぎるが、真一にはそれぞれ新鮮なものだった。
「どこまで本当で、どこから嘘なのか。」
真一は呟く。
「これで女の心が拘束されたら、法なんていらないよなぁ。」
ぼそっとまた口にした時、玲子が頭を過ぎった。
(・・・欲望ってのは、法の範疇ではない。女が、男が、望めば2人の中でそれぞれ解決される。「女」を想定してはいけない。秤に掛けれる存在じゃ、私の考えの中の存在。そうじゃないだろ。どんな法律の専門書にも例外規定がある。身体、心にダイレクトに響くのは科学的ではなく、もっと不確かな何か。)
無毛となった玲子の興奮はいつものものではなかった。
玲子が口にした卑猥な言葉は真一の「命令」だが、女と男が持つわずかな接点が電流を流し、電子を渡したもの・・・。
真一はまた数万を握って買い物に出かけた。
「真一。病院はどうだった。」
鍵を持っている玲子が夕飯の買い物を仕事帰りに終え、真一を見た第一声。
「あぁ。行って良かった。今日は気分が良いよ。」
「そう、良かった。」真一の顔色は明らかにここ最近では一番良い。
安心した玲子が早速、夕飯の準備を始める。
「玲子。ちょっとおいで。」
真一はその夜の「前置き」をするつもりである。
「真一さん、何。ビールでも飲むの?」
「いや、・・・ビールか。久しぶりだな。貰おうか。」
玲子が瓶ビールとつまみに枝豆をお盆に載せて運んできた。
「じゃ、これで待っていてね。」
「玲子。本題はそうじゃない。」
うん?と玲子が小首を傾げる。
うっくりとした動作でビールをグラスに入れ、1杯、一気に真一は飲んだ。
「う~ん。美味い。」
真一はもう1杯、自分でグラスに注ぐ。
「玲子。前に立って。」
怪訝な顔の玲子はそれでも何も言わずソファに腰掛けた真一の前に立つ。
黄色っぽいロングスカートが捲られ、いきなりパンティが下ろされた。
「どうしたの。真一さん。・・・元気が戻ったら、夕飯の後でも・・・。」
拒否は当然ない。若い新婚夫婦と同じ様な二人である。
「少し黒い点が見えるなぁ。もう1回後で剃ろうか。玲子、スカートとこれは脱いで、エプロンのみで夕飯を作ってごらん。」
「もうー。」
玲子は当然恥ずかしいが、元気を取り戻した真一が今、望んだ事を拒む気はない。
新婚の夫婦がそんな事をするのも知っていた。
「ダンナ様、今日だけですよ。」
一度、背を真一に向け、下半身を全て外気に晒し、反射的に誰も見ることのない女を片手で隠して、エプロンを拾う。
「これで満足?」
真一にはスラーと伸びた形の良い玲子の足が見え、それは手に届く位置にあった。
「玲子。悪いけどこれを付けてくれない。」
まだ、今の羞恥心が克服できない中、玲子は黒いビニール袋から出されたモノを受け取る。
(赤いベルト・・・何?これ・・・首輪?・・・どうして。)
「別に変態マッシグラ。って訳じゃなく、ちょっとした興味。君も写真くらいなら見たことがあるだろ。・・・後で「その興味」は説明するよ。」
真一の気配を玲子は探った。
若い夫婦の中でもこんな遊びはあるだろうが、突然、度が過ぎている。
「説明があるのですね。」玲子は真一の目を見て聞いた。
うん。真一は冷静である。良く知る知的な軽い微笑。
「じゃ、あなたの言う通りします。」
玲子は真一の言われた事をする、それを強調した。