「雨に濡れ、雪に凍えて」 written by eConomy 2011ラストストーリー
(いつも濡れている・・・。)
男はしばらくの間、黙っていた。
男の手は女の肌をテーブルの下で触れている。
「濡れているね。・・・。(私といる時は。)」笑みを女に向け、あっさりと言ってみた。後は省略される。
「・・・、止みませんね、雨。」女は雨のせいにするかの様に答えた。
「そうだな。雪ならまだ良いのに。」
会話が途切れた。
昼間のカフェ、路上に面したテーブル。
妻は28歳・・・29になるだろうか。
男の年齢は48。
娘と紹介しても誰も疑いは持たず、質問も思い浮かばないだろう。
男の名は卓也。女は知美。
ある会社に卓也は3度目の就職をした。
知名度は最高と言って良い。
欠陥商品のため、会社はマスコミの血祭り状態だった。
古くからの人間にはささやかな手当てが付加された退職金に多くの人間は倒産前の避難。
若手で能力のあるものは業種的には明るい未来を持った同業に移って行く。
(潰れやしない。・・・潰せない。)
卓也にコンタクトが合った際、思った。
名声(歴史)は多くの関係会社が守らなければいけない。
実際、潰れなかった。
「人殺し」と罵られた企業は多くの腐敗物を吐き出し、新鮮な風を同量入れることで新製品を出すまでに至る。
1製品で数十億の利益が得、次も矢継ぎ早に手を打つ。
卓也をはじめ、「新鮮な風」は幾つも続く裁判の中、企業を着々と立て直した。
多くの「技術」は業界紙にも他と差別なく出、オプション等も一部マニアが会社の「支援」をする様に購入してくれる。
会社はまだ内部的には苦しいが外向け、元の姿を取り戻したかの様になった。
5年・・・。
(もう、良いんじゃないか。)
卓也が思った時は入社から7年目である。
法務部門の役員として外資企業から移り、一室で黙々を業務をこなしてきた。
セクレタリーは短大を出たばかりの知美で、当時、彼女の給与は一部上場企業の総合職の新卒とはとても思えないもの。
プライド(と卓也)が支え7年を得た後、秘書室長になっており、その年収は軽く1000万を超える。
役員室で卓也が言った。
「知美、もうそろそろだろう。」
「・・・そうですね。」
2人の秘め事は会社、プライベートで6年になる。
会社のため、1日に境目がないと思わせる働き尽くめの毎日。
そこから解放されても良いはずであった。
知美の籍が、まず在職中に卓也に入る。
会社は20歳離れたカップルにできる限りの祝福を送った。
2人は資本金1千億の企業を立て直した、間違いなく一翼である。
それから、1ヵ月後、2人揃って退職を願い出た。
最初、会社はその退職を認めなかったが、後任を卓也が推薦することで、それを了承せざるえない。
カフェのテーブルに話は戻そう。
卓也の指は知美のヴァギナを弄び続けている。
「今の時代、女は奴隷、好きな男の奴隷になれればそれで良いのかもな。」
知美が小さく笑った。それは彼女のいつもの主張である。
「難しい質問ですね、旦那様。」
茶化し加減で知美が言った。当然、続きはある。
「あの若いカップル。幸せそうですよね。でも・・・1年後は。子供を作る環境を持たなければ、SEXはただの慰めごと。少なくとも私は男性の・・・あなたの玩具で結構ですよ。」
曇りガラスから見えるカップルは1つの傘で2つの身体を雨から遠ざけていたが、男の背中は雨でびっしょり濡れている。女は男の小さな優しさに気づいていないに違いない。
あらゆる面倒から解放された男女。
子供さえ作ろうと思えば、当然できる。
2人は既に、仕事(社会)から離脱していた。
果たして、働かない両親から子供は健全に育つだろうか。
答えは否である。
金は老後の分まで十分だが、2人の良識は一致していた。
そして、世間はもう、2人の会話に何も口を挟むことは許されない。
男と女は懸命に世間への謝罪・忠誠・それに伴う拘束、それらを業務で死ぬ思いで共にやり遂げた。
2人は自由である。(自由であって、当然だった。)
いつもの散歩がてら昼近いブランチを終え、自宅に戻った夫婦の生活はやはりいつも通りだった。
「うー、寒くなった。」瀬戸内海に面したこの土地は温暖な気候で知られていたが12月も中を過ぎる頃にはさすがに日中でも10度を越える日は少ない。
今日は雨でたぶん5,6度を温度計を示しているだろう。
卓也はエアコンをいつもの通り24度に設定し、部屋の温度を知美にも「快適」なものにしようとした。
その知美はベランダに立ち、日陰の雨を避けた場所に朝、洗濯したものを風にさらそうとしている。
薄ぺらな上着とも言えないものから、上向いた乳首が想像できた。
下半身には何も・・・恥毛すら付けていないため、スラッと伸びた白い足は正に女の白い肌が冷たい空気の中に輝いて見える。
女性は寒さに強い・弱いが極端らしいが、知美はその事で苦情を聞いた事がないから、本当に強いのであろう。そして、卓也より遥かに若い。
「あなた、お茶でもお持ちしましょうか。それともコーヒー?」
ずっとベランダから妻の動作を見ていたため、最後に二人の目が合った時、知美が言った。
「あぁ、コーヒーを。ブランディーを少し入れてくれ。」
「ブランディーですか。部屋はそんなに寒くないでしょう。」
妻の言葉に卓也は少し思った。
(そうだな。厚着だし、寒くないはずだが・・・。風邪気味かな。)
ソファに座っている卓也の下の応接テーブルに知美が正座し、コーヒーを置いた。
(いつまでも美味しそうな「果実」のままだ。)
妻の裸同然の肢体を思う。
熱いコーヒーを一口飲み、知美に「命じた。」
「口で頼む。」
命令調ではないが、内容はいつもの事で「命令」に違いない。
知美はガウンの下、更に下の下着を口で下ろし、夫のペニスを口に含んだ。
柔らかい舌が蠢く感触の中、卓也はまた少し考えた。
(風邪だな。熱もあるかな。)
知美はいつもその行為を卓也の顔を見上げ行う。
夫の顔色といつもとは違う勃起の速さで逆に気がついた。
「あなた、お風邪でも・・・。」
「そのようだな。」
知美の口はまたペニスを覆っていたが、数分後にすべき事を考えている。
「朝の散歩はすべきではなかった。」
卓也は言葉の後、ソファに深く腰掛け、尿を知美の口に流し込む。
知美には当然、習慣とも言えることで、少しずつ出される尿は知美の胃に綺麗に収まった。
「続けますか?」後には、行為以外の・・・例えば、薬を持ってくる・・・等が続くはずだが、その前に卓也は言った。
「あぁ、でもこっちの方が効くはずだ。」
しかたなく、知美は萎えたペニスを最初から愛撫始めた。
昼も3時頃になった頃、卓也の熱は39度近くに達しており、当然、ベッドで寝ている。
その隣では始めての出来事で最初は戸惑っていた知美が今はいつもの冷静さで、滑らかで少し冷たく感じる肌を合わせ肉布団になっている。
二人とも眠っただろう時間が5時間ほどあり、知美の目が覚めた。
夫の熱は冷めてはいなく、少し荒い寝息を立てている。
最初に運んだ熱を取る頭へ貼るシートなどを変えるため、キッチンに向かう知美は便意を覚え、また新しい事に少しうろたえた。
しかし、キッチンでの用事を済まし、新しい薬品を手にし寝室に帰る。
「あなた、あなた。」
知美の排泄はいつも卓也の承諾と一緒にいる時は「観賞」を必要とする。
「うーん、クラクラするな。トイレか。ここでしなさい。」
卓也は知美の方を見ずに言ったが、課題は解決した。
新たに白いアルミの便器を持ってきた知美は卓也の頭に新しいシートを貼り、耳元に呟く。
「牝奴隷が粗相致します。ご主人様。」
いつもの台詞は無視されたが、知美はベッドの下にしゃがみ込む。
夫は見ていないが、何時もその顔を見ながら行う事がこの家の決まりである。
ベッドの方を見つめ、知美が小さく言った。
「知美の小便をご覧下さい。」
小さな襞をフルフルとさせた後、知美の大量の小便が始まった。
視線がない事に何故か淫らさを感じる。
(あぁ、いきそう・・・。)
その後に続く大便では、ヴァギナを自分の手で拡げながら行わなければいけない。指は既にそこにあり、禁じられているオナニーを知美は始めていた。
「ご、ご主人様。ト、トモミ・・・の大便でお目汚し致します・・・。」
かすれ声が消えた時、肛門の先端には汚物が5cmほど見えており、左手で拡げたヴァギナが右手で激しく摩擦される。
「ア、アァ~、キモチイィー、イィーノ。」
アルミの簡易便器には次々と固体が積まれていく。
大半を終えた知美は呆けた顔でベッドを見続けていたが、夫は最初から変わらず、「世の中の全てが今は鬱陶しい。」といった体で毛布に包まって一瞥も知美には与えていない。
(どうして、あんなに興奮・・・高まったのかしら。卓也に見られてないし、他の命令もない・・・でも、卓也が側にいたから、は確かなんだけど。)
当然、主人の部屋からアルミの「汚物入れ」が真っ先に片付けられ、知美自体にはわからないであろう匂いを含め、全てがなかった事にしてしまう様にエアコンの空調を作動させ、少しの間、窓を全開にした。
(雨の中の潮風・・・。)
家は海の近くの高台にある。数十m単位でモダンな一戸建てが数軒並ぶ高級住宅地では隣家への配慮は不要だった。
シャワーを浴び、再び夫の毛布に裸体を寄せた時、もう1時間以上経っていたが、高熱のためか、卓也は早い息のみさせ、身体を動かさない。
「寝ていますか?」
知美がささやいてみる。
卓也は答えを返さなかった。
昨夜の夜は深夜、何度か卓也に起こされた。
雑炊などの食事を与える事、同時に風邪薬。熱を取るためのシップの交換。
そして、卓也の小便器に知美自身がなるため。
「お前はこんな時、本当に便利だな。ふ、ふっ。」
ペニスを口に含んだ妻を見、少し笑った夫に知美は少し安堵し、翌日の11時近くまで二人とも眠っていた。
夫がベッドから立ち上がったのは気づかなかったが、寝室のドアが開く音で知美も目覚めた。
「あなた、どちらへ。」
「あぁ、トイレ。」
「なら起こして下されば。」
「いや、大きい方だ。」
それでさえ、夫は気まぐれで時に知美の口を使うことがあるが、今はそんな心持ではないらしい。
ただし、トイレにお湯での洗浄装置があるが、紙は置いていない。
知美が舐める事も夫婦の決め事だった。
知美は裸のまま、夫の入ったトイレの前で正座して待った。
しばらくし、卓也が出て、当たり前に知美に尻を向けたったままでいる。
水滴をすくう様に舐め取る妻へ言った。
「ちょっと、病院に行こう。ただの風邪ではなさそうだ。」
肛門を吸っている音に混ざり、知美には聞こえなかったのだろう。返事がない。
当然、知美の運転、或いはタクシーになるためもう一度病院に行く事を告げる。
「どこか、痛むのですか。」2度目でその対応を妻がした。
「そうだね。ちょっと胸が苦しい。」
瞬間、知美の顔が暗くなったが、親類に同様の症状を訴え、3日後亡くなった人がいた事は当然言わない。